大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ラ)776号 決定

なお付言するに、宗教団体であっても、社会的にみて識別が不可能又は著しく困難であるような類似の名称の使用は許されないものというべきであるが、しかし、当該名称とこれと類似する名称とを識別することが可能であるか又はそれほど困難でない場合には、特段の事情がない限り、類似の名称を採択使用することは違法ではないというべきであるのは、前記のとおりである(引用にかかる原決定三四頁、三五頁参照)。

そして、宗教団体にかかる類似の名称の識別が可能又はそれほど困難でないものであるかどうかは、名称自体の類似性はもちろん、その名称を使用する宗教団体の所在地の遠近(例えば、商法一九条は、他人が登記した商号は同一市町村内において同一の営業のために登記することができない旨を規定しているが、これは、商号(名称)の類似性を判断する際には場所的な遠近が考慮要素となることを示しているものということができる。)、代表者の異別、宗派の異同等諸般の事情を総合的に勘案し、社会的にみて類似の名称を一般人が識別することが可能であるかどうかという観点に立って判断すべきであって、単に名称自体の類似性のみに着目すべきではないというべきである。殊に宗教界においては、宗派、宗教団体等を指称する宗教上の用語が限られていることから、宗教団体等において類似の名称を使用する例がかなり多いことは公知の事実であり、類似の名称を名称自体の類似性のみに着目してその使用の許否を決定すると、宗教団体の宗教活動を不当に制限し、信教の自由に対する過度の制約となりかねず、極めて妥当性を欠く結果となるものである。したがって、名称自体の類似性のみに着目して類似の名称の使用の許否を決めるべきであるとする抗告人の主張は、採用することができない。

(宍戸 沢田 板垣)

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